今日は東京芸術劇場・シアターイーストにて「エブリ・ブリリアント・シング」という佐藤隆太さんの一人芝居を見てきました。
昨日急遽行きたくなってチケットを取ったんです。
70分らしいし舞台にしては短いからそこまでは負担はないかなぁと思って選びました。
佐藤隆太さんを舞台で拝見するのは2009年のビロクシー・ブルース以来11年ぶりでした。
舞台が終わって、その後の翻訳・演出家の谷賢一さんのポストトークが終わったのが15時を少し過ぎたあたり。
スマホの電源を落としてたので詳細な時間は分かりませんが、予定通りなら40分くらいポストトークをしたということかな?
佐藤隆太さんの一人芝居なんですが、周りの観客の一部に物語の重要な役に指名する、観客参加型で一体感がありながらも、題材が母親のうつ病や死についてという重たいもの。
開場時に四方客席に囲まれたステージに佐藤隆太さんはもう既にいて、席についたお客さんに佐藤隆太さんが丁寧に一人ずつ「素敵なこと」を書いた紙を渡してくる開演直前までしてて、私もカードをもらった。
「このカードの番号を言った時に座ったまま大きな声で話してください」と言われ、緊張しながら座って開演を待ってました。
番号が最初以外飛び飛びなので突然私の番が来てびっくりしながら緊張もしつつもなんとか答えられましたw
何回も素敵なことリストの番号を言わされる人もいれば、私みたいに1回だけということもある。
人を見ながら渡してるんだろうなぁとなんとなくw人見知りの空気を出してたんだろうなぁ、私w
短いのでしたw
(チラシの中に入ってたパンフレットと佐藤隆太さんから手渡しでもらった素敵なことリストの紙(ネタバレになると思ったので私が話した台詞は伏せておきます))
佐藤隆太さんはお客さんで重要な役に指名された方へ優しく丁寧に説明しつつ、場面の終わりには毎回「ありがとうございます」と丁寧に話して物語を進めて、佐藤隆太さんのTVなどの従来のイメージ通りの温かな人なんだろうなぁという素敵な人柄でますますファンになりました。
主人公の母のうつ病の自殺未遂が物語の始まり。
私自身がうつ病当事者(実は高校生の頃からなのです。あまり言いふらすことでもないなぁと思ってあまりネット上では話さずにいました。ちなみに現在も寛解しておりません)なので、主人公の母のように家族に迷惑かけてるんだろうなぁとなんとなく感じたり。
子供の頃の主人公は"こういう出来事"があってもうまくやれてたのに、大人になって"同じような出来事"があった時にキツい言い方になってしまうとか、私自身にも当てはまることがあるなぁとなんとなく思いながら見てました。子供の頃が素直に生きることができたような気がしてそこが共感しました。
主人公みたいに素敵なことリストを最終的に100万個も書いたんですよね。それで主人公自身も背負い込んでうつ状態になり、グループで自身の体験談を話すのも勇気がいることだろうなぁとも思って見てました。
小学生時代のカウンセラーにもう一度電話するのも勇気いるだろうなぁ。
音楽もキーワードになってて、戯曲の着地点もレコードでしたし、私は洋楽はあまり聴きませんので、知ってたらもっと楽しめたんだろうなぁとも思いました。でも着地点の素敵なことリストと大好きなレコードで前を向き始めた主人公を見て心が温かくなりました。
ポストトークで演出家の谷さんの話が面白くて。
覚えてるお客さんからの質問回答は
・音楽が細かく指定されてて、大まかなジャンルが指定されてるところは自分で選んだ。ただ、開演前のBGMとして流してるレコードは自分で選んだもの
・観客から重要な役を佐藤隆太さんがカードを配ってるところを谷さんが人物観察して、お客さんの配役を佐藤隆太さんに提案して、話し合いながら決めてる。
・佐藤隆太さんが稽古の進みが早かったから最後の方の稽古では褒めてばかりいた。12月にはテスト稽古として20人ほどお客さんを募集して最後までできる状態だった。テスト稽古は複数回くらいやったとのこと。佐藤隆太さん側の提案で決まることも結構あったらしく、谷さん曰く佐藤隆太さんは「自分をプロデュースするのが上手い人」とのこと。
・佐藤隆太さんは太陽のような人で、谷さん自身は暗いところが大好きな人間だから、(太陽に)燃えさせるような感覚だったらしいw
・観客側は渡されたカードの内容以外はアドリブなため、テスト稽古の時の珍回答としてはカウンセラーが靴下を脱いで手にはめて犬になるところの2回目の時に「○○(犬の名前)は死にました」とか本日の恋人サムが最初の出会いで振ってもう一度やり直すとか。面白かったのは10歳の男の子にお父さん役をやらせたら披露宴のスピーチがちゃんといえててどこで覚えたんだ!という感じだった。
・佐藤隆太さんが鼻を噛むシーンについては佐藤隆太さんが鼻炎なんじゃないか?というのと演技の部分もあるとのこと。
この戯曲の世界各国でやってる戯曲で、主人公は男女どちらでも良いらしくて、2人の俳優でやるバージョンもあるらしい。
実は某劇場に版権をギリギリで取られそうになったそうで、某劇場に谷さんが恨まれてるとかw
ポストトークは長めでしたけど谷さんの話がとても面白かったので、記念に谷さんが書いた戯曲「福島三部作」を買って谷さんのサインと握手してもらった!旅から帰ってからの読書用の本にしよう。
お話も少しさせていただいて、福島のことに関する戯曲の本なので相馬から見にきたことを伝えて、うつ病当事者ということも伝えました。
(本と谷さんのサイン)
私が普段見るのはミュージカルメイン。
一人芝居は2度目。でも今回の一人芝居はだいぶイレギュラーな作品。
客を巻き込んで最終的には一体感を持って客一人一人が物語の当事者になったような感覚になりました。
私は台詞を一言を言っただけですが、それだけでも緊張しました。
面白い作品で演出も演者もいいところばかりでした。